https://www.nikkei-science.com/202406_008.html
人に寄り添うロボットをAI深層学習で実現
現実と予測のズレをロボがリアルタイム修正
難問「モラベックのパラドックス」克服へ
人間の代わりに仕事や作業をこなすヒューマノイド(人型ロボット)の開発機運が世界的に盛り上がる中で,人工知能(AI)によるスマートなロボット制御への期待が高まっている。早稲田大学理工学術院教授の尾形哲也はこの分野で独創的な研究成果を次々にあげてきた。目標は1台で様々なタスクに対応する頼れるヒューマノイド。「簡単に見える作業こそ難しい」というロボット開発の積年の課題に正面から取り組んでいる。 (文中敬称略)
東京都新宿区にある早稲田大学次世代ロボット研究機構。尾形が所長を務める同機構AIロボット研究所は内閣府「ムーンショット型研究開発制度」のAIロボット開発の主要拠点だ。キッチンや風呂,寝室など生活空間を再現した「リビングラボ」が設けられ,ここを実験フィールドとして,ヒューマノイド「AIREC(アイレック)」の開発が進んでいる。
AIRECは「AI-driven Robot for Embrace and Care」の略。名前の通り,人に寄り添って日常生活のヘルパー役となることが期待されている。少子高齢・人口減少社会ではとにかく働き手が足りなくなる。家での調理や洗濯,清掃,介護現場での食事介助やベッドから車イスへの移乗,病院での点滴交換など,人を手助けする様々な作業を1台でこなす「スマートフォンのようなロボット」(尾形)を世に出そうとしている。
続きは日経サイエンス2024年6月号の誌面をどうぞ
尾形哲也(おがた・てつや)
早稲田大学理工学術院教授。1969年東京都生まれ。2000年早稲田大学大学院理工学研究科博士課程修了。理化学研究所脳科学総合研究センター研究員,京都大学大学院准教授などを経て2012年早稲田大学理工学術院教授。産業技術総合研究所人工知能研究センター特定フェローを兼任。神経回路モデルに基づく認知発達ロボティクスなどを研究。
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